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収蔵資料を紹介します。【その23】

テーマ:     公開日:2026年10月14日

10月14日は「鉄道の日」です。
これは明治5年(1872)に新橋・横浜間で日本初の鉄道が開業したことを記念する日です。かつては「鉄道記念日」
と呼ばれ、鉄道開業50周年にあたる大正11年(1922)に当時の鉄道省により制定されました。その後、平成6年
(1994)にすべての鉄道事業者が祝う共通の記念日として現在の名称に改められました。

鉄道開業式は、明治5年(1872)9月12日(新暦10月14日)に執り行われました。当初は9月9日に予定されて
いましたが、悪天候のため延期された経緯があります。
式典には明治天皇をはじめとする日本側の要人が、直垂(ひたたれ)や羽織袴などの正装で参列しました。
また、多くの外国高官も招かれ、新橋および横浜の駅舎で挙行された式典に出席しました。

東京汐留鉄道開業祭礼図  歌川広重(三代)  年不明


今回紹介する作品には、当時の熱狂が描かれています。蒸気機関車が駅舎側を向いて停車している描写から、
横浜駅を出発した列車が新橋駅に到着した場面であると推測されます。
駅舎は万国旗で彩られ、無数の紅白提灯や緑のアーチで装飾されていました。新橋駅での式典に合わせて空には
祝砲の花火が上がり、雅楽「万歳楽」が奏でられるなか、許可証を持つ人々は駅構内の桟敷席からその様子を
間近に観覧しました。
一般の人々も駅舎や沿線に詰めかけ、初めて目にする鉄道の姿を一目見ようと集まりました。当時の新聞に
よれば、政府の予想を遥かに上回る人出となり、警備や整理に非常に苦心した様子が記されています。

輸入された10両の蒸気機関車
日本の鉄道黎明期を支えるため、英国から10両の蒸気機関車が輸入されました。これらは5つの形式に分かれて
おり、メーカーや性能も様々でした。
当初は1号から10号までの番号で呼ばれていました。そのうち「2〜5号」と呼ばれたグループが、後に
「160形機関車」となります。

「160形機関車」
製造: シャープ・スチュアート社(Sharp, Stewart & Co. Atlas Works)


紹介した写真の側面には「17」という数字が見えますが、これは明治9年(1876)の改番によるもので、開業当初は
「2」の番号が付与されていました。
この2号機関車(後の17号)は、開業時のお召し列車を牽引した栄えある車両です。明治44年(1911)には島原鉄道
(長崎県)へ譲渡され、改修を重ねながら第二次世界大戦後まで現役で走り続け、昭和30年(1955)に廃車となり
ました。

開業時に輸入された10両のうち、現在も以下の3両が保存されています。
 1号機関車(150形): 鉄道博物館(埼玉県さいたま市)所蔵
 10号機関車(110形): CIAL桜木町内「旧横濱鉄道歴史展示」(神奈川県横浜市)展示
 7号機関車(後の台鉄1号): 228和平紀念公園(台湾・台北市)にて保存

「110形機関車」
製造 ヨークシャー社 (Yorkshire Engine Co. Meadow Hall Works)


お近くの展示施設を訪れた際は、日本の近代化を切り拓いた勇姿をご覧になってはいかがでしょうか。

 

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