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収蔵資料を紹介します。【その5】

テーマ:     公開日:2025年08月11日

猛暑の日が続くこの夏ですが、明治の頃の人々はどのようにすごしていたのかを収蔵作品から紹介してみたいと
思います。

今回紹介する作品は、有山定次郎「明治婦人風俗画 夏夕の庭園」という作品です。

明治婦人風俗画 夏夕の庭園 有山定次郎 明治24年(1891)

こちらの作品は「砂目石版」と呼ばれる技法で製作されました。
「砂目石版」は石版画の技法の一つで、石版石の表面を金剛砂(ガーネット(ザクロ石)を粒状にした研磨材)で磨き上げた後、ごく少量の水か、あるいは水を使わずに金剛砂で研磨し、砂目を立てて製作された作品です。
微妙な陰影による写実的な表現を可能とする砂目石版画は、江戸時代から続く多色刷木版画とは異なり版木を彫る必要がありません。石版画は水と油の反発の原理を応用する印刷法で、写真の代替品として注目され、手彩着色を施された作品も製作されました。
明治中頃には数多くの絵画をはじめとした印刷物が製作されましたが、明治の終わりにかけて写真製版の普及とともに次第に入れ替わっていきました。

かつては美術的な評価はあまり高くなく、注目されることも少なかった砂目石版画ですが、近年は展示会などで紹介される機会も増えてきています。

作品には、夏の夕方の庭先に咲く朝顔の鉢植えに、ジョウロで水をやる女性たちと金魚鉢を持つ少年が、浴衣姿で庭にたたずむ風景が描かれています。
モノクロの作品ですが、陰影による表現により写実的な作品に仕上がっています。

砂目石版画の全盛期である明治24年(1891)に製作されたこの作品から、130年以上前の夏の夕暮れの様子をお楽しみ下さい。

 

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