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東京の街~くらべる探検隊~ 第19回「梅若神社(木母寺)~白髭橋」

テーマ:     公開日:2025年06月01日

新緑の季節、風もさわやかで気持ち良いな~と思っていましたら、
あっという間に6月になり、梅雨入りの季節となりました。

さて、久しぶりの「東京の街~くらべる探検隊~」は、

現在開催中の企画展「天気を映す明治の東京」でも展示されている、
「梅若神社」(木母寺)と「白髭橋」付近に出掛けてきました!

なぜ「梅若神社」(木母寺)?と思われると思いますが、梅雨の季節にちなみ、
雨の錦絵をご紹介しようと思ったからです。

雨の錦絵というと、みなさんどんな作品を思い浮かべますか?
有名なのは、歌川広重のこちらの作品かと思います。

歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
国会図書館デジタルコレクション

歌川広重の作品は、雨の線を黒で表現していますね。

では、企画展で紹介している、小林清親の雨の作品を見てみましょう。

小林清親 「梅若神社」

小林清親は雨の線そのものを彫ることによって、
雨を白い線で表現しています。対照的な雨の彫り方、擦り方ですね。

この梅若神社、現在は木母寺(もくぼじ)と呼ばれています。
明治の廃仏毀釈により一時的に「梅若神社」と改称していました。
その後、明治21年(1888)に再び「木母寺」と名称を戻しました。

厚い雲に覆われた空より横殴りの豪雨に見舞われる様子が描かれた作品です。
雨を黒い線で直接表現するのではなく、白い背景では薄墨線で、版それぞれに白抜き線を施して、
ずれることのないよう摺り重ねることで表現しています。
既存の作品とは異なる発想と表現を支える彫りと摺りの技術の高さに驚かされます。

雨を表現したどちらの作品も素晴らしいですね✨

現在の木母寺は東武スカイツリーライン「鐘ヶ淵」駅より、隅田川方面へ徒歩7分ぐらいのところにあります。
作品に描かれたころは、もっと東側にありましたが、高層団地の建設のため、現在の場所へ移りました。

こちらが、現在の木母寺です。

木母寺入り口

中に入りますと、梅若堂と梅若塚があります。

梅若塚と梅若堂

梅若堂

梅若塚

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木母寺は平安時代中期の貞元2年(977)天台宗の僧、忠円阿闍梨が梅若丸の供養のために建てられた念仏堂が起源で、梅若寺と名づけて開かれました。

今も伝わる梅若伝説は、平安時代、人買にさらわれて、この地で亡くなった梅若丸という子供と、その子を捜し求めて旅に出た母親にまつわる伝説です。

この伝説を元にして、後に、能の隅田川をはじめ歌舞伎、浄瑠璃、舞踊、謡曲、オペラなど、さまざまな作品が「隅田川物」として生まれていきました。

この隅田川物を上演する際に、役者が梅若丸の供養と興行の成功ならびに役者自身の芸道の上達を祈念して「木母寺詣」を行ったことから、芸道上達のお寺として広く庶民の信仰を集めるようになりました。
*木母寺公式HPより
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昨年、たまたま友人が出演する「能オペラ、隅田川」を観る機会があったのですが、
歌舞伎や舞踊など様々な芸能で演じられているんですね~。
改めて作品の背景などがわかり、理解が深まりました。

さて、次の目的地「白髭橋」に行ってみましょう!

木母寺をあとにして、隅田川沿いの道路を約1キロほど歩くと白髭橋に到着!
向こう岸には、ガスホルダーも見えてきました。
白髭橋は、東岸は墨田区、西岸は台東区、荒川区にかかる橋です。

江戸時代には、今の白髭橋のあるあたりに「橋場の渡し」がありました。
約160メートルの渡しで、「白髭の渡し」とも言われていたそうです。

こちらは、小林清親の作品で「東京橋場渡黄昏景」です。
この作品には、現在の隅田川に掛かる白髭橋付近を行き来していた渡し船が描かれています。

小林清親「東京橋場渡黄昏景」

橋場は歴史の古い土地柄から江戸時代から風流な場所とされ、大名や豪商の別荘が隅田川河岸に並び、
有名な料亭も多かったそうです。
明治期に入ってからも屋敷が建ち並んでおり、とりわけ著名な三条実美の別荘である「對鴎荘」が
橋場の渡しの西岸にありました。
白髭橋の完成に伴い、大正期に「渡し」は廃止されたといわれています。
*ウィキペディア(Wikipedia)』より

こちらは今の白髭橋付近です。

西岸からの白髭橋

白髭橋の袂(西岸)と隅田川

白髭橋とスカイツリー

西岸からはスカイツリーも眺めることができます!

さて、雨上がりには虹に遭遇することもありますが、虹が描かれた錦絵をご存じでしょうか?

こちらは、虹が描かれている、小林清親の「橋場の夕景」です。

小林清親「橋場の夕景」

こちらの作品も白髭橋付近を行き来していた渡し舟が描かれています。
雨の上がった夕方、雲の切れ間から差し込む西日により、東の空に現れた虹を船上の人が
眺めている様子が見て取れます。

雨が上がり、ほっとして空を見上げるときれいな虹に遭遇し、
幸せなひと時を過ごしたのではないかな~と想像できる作品ではないでしょうか?

今回は、木母寺~白髭橋付近をくらべてみました。
いかがでしたか?

尚、企画展「天気を映す明治の東京」は、6月22日(日)まで開催しています!
https://www.gasmuseum.jp/gallery/

最後に、ガスミュージアムの虹もご紹介しましょう✨

ガスミュージアムと虹

もうすぐ梅雨に入りますが、おもいがけず虹に巡り合うこともあるかもしれません✨
ぜひ、ご見学にお越しください。

次はどこに行きましょうか?お楽しみに!

くらべる探検隊1号 T.Y

 

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